祖谷(徳島県)に訪れたら、地元ならではの味覚も味わってみたい。なかでも、祖谷そばは、徳島県 祖谷地方に古来から伝わる伝統の味である。ブツブツと切れる滑らかな食感と、そば本来の豊かな風味は、どこか、なつかしさも感じさせる。



祖谷そばを食べられる店は徳島県内にいくつもあるのだが、かずら橋から、更に祖谷川を遡上した東祖谷若林には、祖谷そばのそば打ちを体験できるスポット「古式そば手打ち体験塾 都築」(徳島県)がある。都築(徳島県)では、祖谷そばを味わえるだけではなく、伝統的手法によるつくりかたと味わい方もひととおり体験することができる。



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Sbauti Nobashi













 祖谷そばの信条は、「挽きたて、打ちたて、湯がきたて」。まずは代々使われてきたという古い石臼で そばの実を挽くことからはじめる。石臼の音は、ゴリゴリと心地よい音を立てながら、ソバの実を少しずつすりつぶしていく。できたそば粉は豊穣な風味がただよう。次はそば粉を水で練って、団子状にまるめる。それを平たくのばして、包丁で切っていく。最後は、茹でる工程だ。「びっくり水」といわれる差し水を時おり行いながら、芯までゆであげていき、ダシや薬味を加えると、祖谷そばの完成だ。



祖谷そばは、芳香な香りとやさしい食感がよいそばだ。まるで、ふるさとのおばあちゃんの家に帰ったような、なつかしく深い味わいもする。そんな祖谷そばの伝承と切り離せないのが、徳島県 祖谷地方に残る民謡の数々だ。徳島県 祖谷地方に住む人々は、厳しい自然環境のなか、民謡を口ずさみながら、そばづくりに励んできたのだという。石臼を回す行程においては、「粉ひき節」が活躍する。この民謡の歌詞には、善徳の「かずら橋」(徳島県)も登場する。





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Soba_hiki_2



Soba_2










祖谷のかずら橋ゃ 蜘蛛の巣の如く
風も吹かんのに ゆらゆらと
吹かんのに 吹かんのに 風も
風も吹かんのに ゆらゆらと
祖谷のかずら橋ゃ ゆらゆらゆれど
主と手を引きゃ こわくない
手を引きゃ 手を引きゃ 主と
主と 手を引きゃ こわくない



「徳島県 民謡(徳島民謡)祖谷の粉ひき唄」より



 剣山の山々に囲まれ、秘境ならではの独自の文化や景観と出あえる、徳島県 祖谷。
古きよき時代の人々のくらしや、平家の落人たちの哀愁に思いを
馳せながら、ゆったりと心が休めることができる地である。




(文と写真)井上晴雄







徳島県の西部に位置する「にし阿波観光圏」は崖が多いことや冬は雪に閉ざされることなどその厳しい自然環境から、日本の原風景ともいえる昔ながらの風景が多数残されている。また、平家伝説や妖怪伝説など、地域ならではのさまざまな伝承も味わい深い。

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徳島県の西部にはJR土讃線が走り吉野川に沿って大歩危・小歩危など景勝地もかすめていく

にし阿波観光圏は稲作に適した平地が少なく、山斜面を利用してそばの栽培が盛んに行われてきた。祖谷そばは祖谷地方の名物。

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善徳のかずら橋は、自然のつるでできた橋。その脇にある琵琶の滝とともに平家伝説が語り継がれている

井上晴雄 絵画作品集〜心を癒す日本の旅風景〜