名頃地区(徳島県)を更に東へ進めると、東祖谷の最奥に「奥二重かずら橋」(徳島県)がかかる。奥二重かずら橋(徳島県)は、自生のシロクチカズラで編まれた吊り橋。約800年前、讃岐志度の戦いに敗れた平家の一族が、剣山、平家の馬場での訓練に通うために架けたと伝えられている橋だ。祖谷川の流れに、二本のかずら橋がかかる風景は、秘境のムード満点。約44mの長さを持つ男橋と、約22mの女橋の二本が、平行して並んでいることから、「夫婦橋」とも称される。かずら橋の隣には、「野猿」と呼ばれる、人力で対岸に渡るためのロープウェイもある。ロープを手で引いて手元に引き寄せると、前進する仕組みで、こちらもまた、古の趣がある。


 平家の落人たちが住んだという東祖谷(徳島県)は、古きよき時代の「日本の原風景」と出あえる地域だ。茅葺きの民家やかずら橋はじめ、まるでタイムスリップしたようなその昔ながらの景観に対峙したとき、私たちは、現代の生活で忘れていたものや、自然の奥深さを改めて再発見できるような気がする。

(文と写真)井上晴雄

徳島県の西部に位置する「にし阿波観光圏」は崖が多いことや冬は雪に閉ざされることなどその厳しい自然環境から、日本の原風景ともいえる昔ながらの風景が多数残されている。また、平家伝説や妖怪伝説など、地域ならではのさまざまな伝承も味わい深い。

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徳島県の西部にはJR土讃線が走り吉野川に沿って大歩危・小歩危など景勝地もかすめていく

にし阿波観光圏は稲作に適した平地が少なく、山斜面を利用してそばの栽培が盛んに行われてきた。祖谷そばは祖谷地方の名物。

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善徳のかずら橋は、自然のつるでできた橋。その脇にある琵琶の滝とともに平家伝説が語り継がれている

井上晴雄 絵画作品集〜心を癒す日本の旅風景〜